８日の皆既日食を控え、米国が盛り上がっている。主要メディアは連日ニュースで取り上げ、観測に適した地域では宿泊施設やレンタカーの予約がいっぱいに。一方、野球の大リーグで試合時間を遅らせたほか、受刑者が観測を許可するよう求めて訴訟を起こすなどの余波も生んでいる。

　皆既日食とは太陽、月、地球がほぼ一直線に並び、地球から見ると、月が太陽を全て覆い隠す現象を指す。米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）によると、メキシコ、米国、カナダの一部で観測でき、今回を逃すと２０４４年まで観測できないという。その経済効果は、米国最大のスポーツの祭典といわれるプロフットボールＮＦＬの王者決定戦「スーパーボウル」より大きいと伝える米メディアもある。

　今回、特に恩恵を受けているのが観光業だ。米民泊仲介大手エアビーアンドビーなどのデータを基に短期滞在施設の空室状況を分析する「ＡｉｒＤＮＡ」によると、観測に適した東部ニューヨーク州バファローや南部テキサス州ダラスなど主要２５都市の前日７日の稼働率は７７・９～９９・２％。レンタカー需要も高く、米紙ニューヨーク・タイムズによると、事前予約が前年比で３０００％増加した地域もあるという。

　大リーグにも影響は及び、ヤンキースはヤンキースタジアムで予定するマーリンズ戦の開始時間を現地午後２時５分から午後６時５分に変更したと発表した。ガーディアンズも試合開始を遅らせる。多くの人が観測のために外出し、交通渋滞が見込まれることなどを考慮したようだ。

　皆既日食を巡っては、ニューヨーク州当局と受刑者の間で一時訴訟沙汰に発展する騒動も起きた。

　当局が安全を理由に日食の時間は屋内にとどめることを決めると、受刑者６人が「宗教的に重要なイベントだ」などと反発。憲法で定められた権利を侵害するとして当局に観測を認めるよう求め、連邦地裁に提訴した。米ＣＢＳニュースなどによると、当局は４日、原告の要望を許可した。【ニューヨーク中村聡也】

gooニュース/毎日新聞　2024/04/06 12:42
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